「KING OF 監督」ジョゼ・モウリーニョ 勝利の秘訣

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ルイス・ローレンス著「ジョゼ・モウリーニョ」を読みました。数々の栄冠を勝ち取ってきた男の軌跡を知ることができる一冊。印象的だった言葉を3つ引用します。

1.チームのコンセプトはどんな一選手よりも重要

すべてのプロセスを進展させ、方向づける意味で、こういった資料は非常に大切だと思う。会長に渡したこの資料は、PowerPointを用いて作った資料だった。一番初めの図は、計画全体の基本的なアイデアでもある、”チームのコンセプトはどんな一選手よりも重要だ”という考え方を示したものだった。このコンセプト自体は最初にスライドで説明した。資料の基本となるコンセプトだった。

また、みんながフットボールを考え、話し、練習するときは、各選手の意見より、フットボール自体の本質を理解するほうが重要なんだという考えを、ポルトのすべての関係者に気づいてほしかった。チームが試合の準備を進める過程こそが、最も大切な要素なのである。さらには、クラブ、クラブの規模、クラブの信条などに敬意を払うことの方が、個人よりもはるかに重要だった。いまでは一部の人から”バイブル”と呼ばれる私が作成した資料は、この理念と完全に一致していた。

「企業のコンセプトはどんな一個人よりも重要」と言い換えることができるかもしれない。どれだけ優秀な人材でも組織のコンセプトにマッチしなければ、その「優秀さ」を発揮することは難しいでしょうし。企業としてみれば、コンセプトにマッチする人間をじっくり育成する方が幸せになれるのではないでしょうか。採用担当の方、もしご覧になっていたらオファー待ってます。

2.勝利へ向けた戦いはすでに始まっている。

2002-2003シーズン、モウリーニョが指揮を執るFCポルトが優勝を決めた試合後。帰宅途中にモウリーニョは妻のタミに語った。

リーグ優勝するのは大変なことさ選手と監督が、努力を積み重ねた結果、優勝できたんだ。しかるべき道をたどってこなかったら、我々はここまでこられなかっただろう。タミ、君ならわかるだろうけど、優勝へ向けた戦いは、リーグ戦が開幕した時から始めるんじゃない。それまでの我々一人一人の積み重ねによって、優勝を手にすることができるんだ。一朝一夕にチャンピオンになれるわけじゃない。今日優勝を祝ったものたちも気づいていないかもしれないが、我々は何年も前からチャンピオンになるための準備を進めていたのさ。おそらくポルトにやってくる前からね。

僕達もすでに勝利へ向けた戦いの最中にいる。明るい未来を信じて走り続けよう。走り方が不格好でもゴールテープを切れないよりは随分マシだ。宇多丸師匠も”外野のヤジは聞くにほとんど値しない”って言ってたじゃん。一歩一歩着実にステップアップして、訪れたチャンスを確実に仕留めよう。

3.成功が我々にどのような影響を及ぼすか、知っておく必要がある。

2002-2003シーズンは、FCポルト史上最高の結果を残した。スーペルリーガ、ポルトガルカップ、UEFAカップという3つのタイトルを獲得した。しかし、2003-2004シーズンを迎えたチームに、ある変化が・・・。

ミーティングや練習に遅れたことがなかった選手が、遅刻するようになった。以前なら絶対に練習を休まなかった選手が、少し筋肉が痛いからといって、トレーニングを欠席するようになった。また、フェアプレーが持ち味だったチームなのに、ラフなプレーが目立つようになった。大きな問題ではなかったかもしれない。しかし、我々指導者陣にとっては、すぐに対処しなければならない問題だった。以前のようなチーム状態に戻すため、私はプレシーズンの間に、ある2つの決断を下した。まずセルジーニョを解雇した。8キロも太って、トレーニングに戻ってきたからだ。また、ハノーファーとのゲームでは、開始20分でマニシェを交代させた。ベンチから与えた私の指示に、耳を傾けていないように思われたからだ。選手の意識を変化させるため、私はわざとこの2つの決断を下した。

THA BLUE HERB / BROTHERのリリック、「富と名声は危ういっていう名言の理由は 俺の所まで上がってきたときに教えてやる」「失敗はつきまとう しかし心配ない 成功した時こそ足元をしっかりな」を思い出しました。やはり、成功すると全てが狂ってしまうのでしょうか。僕は成功したとしてもポルシェに乗るような真似はしたくないですね。ホテルのバーでマティーニを飲むこともしたくない。赤ちょうちんの焼き鳥屋で焼酎を飲んでいたい。つまり、成功したからといって生活レベルを上がるようなことはしたくないですね。人のためにお金を使いたいです。そうすればもっと自分のところに入ってくるんじゃないかって・・・え?冗談ですよ!

まとめ

この人の印象は「選手より目立っているイケメン監督」くらいでした。しかし、実際に読んでみると努力家で、選手思いで「こんな人がボスだったらなぁ」とつい思ってしまいました。95%くらいポルトガルリーグでの活躍の話なので、チェルシーやレアル・マドリーの話を期待すると肩透かしをくらうかもしれません。とはいえ、ゼロから頂点を極めるダイナミックなプロセスは読者に希望を与えてくれますので、チャレンジすることに疲れたすべての人に読んで欲しいです。