結局、会社って社長の人間力だよね(後編)

前編はこちら

ピンチピンチのとき、人の本性がでるのであります。そして、乗り切った人には大事な考え方を持っているのでした

いやー、なんかね。ここまで読むと、「ビームスって素敵やん」な話ですよね。でも、組織である以上。いろんな意見もでてくるでしょうし、危機がなかったわけではないそうです。そこには余り多くは語られていない波瀾万丈のドラマがあったのです。

キャスト


設楽洋(ビームス社長)


重松理(元ビームス常務、現ユナイテッドアローズ代表取締役会長)

それは、晴天の霹靂だった

事件はさかのぼること89年、ビームスが鈴鹿8耐にビームス・ホンダとして初参戦し、初優勝を飾った翌日のことだった(なんで鈴鹿8耐出てんだっていうのは、この際無視)

設楽「その勝利の余韻にまだ浸っている中、突然、重松さんたちから辞表を受け取ったんです。まさか、昨日、一緒に喜びを分かち合ったと思っていた仲間が、翌日、そんな行動に出るとは・・・まったく予想もしていない出来事でした」

たった二日で、設楽氏は天国と地獄を見たわけである。皮肉にも・・・手元にあったバイク雑誌の特集のビームスの広告には「チームの力」という言葉。(悲しい)そう、設楽氏は最高のチームと信じていた仲間から、思いも寄らぬ辞表を受け取ったのだ。

果たして、憤り、怒りは、なかったのか?

設楽「まったく、なかったといえば、嘘になりますが、自分への情けなさが勝ってたのと、事態への対応を考えるのに精一杯だった」

こういうときに、「自分への情けなさ」と思えるというのは凄いですね。

でも確かに、重松氏と運命を共にすべく、辞表を提出したメンバーは、当時70人いたビームスの役職社員のうち、約30人!!事態への対応を考えるのに精一杯で怒りとか悲しみとか二の次だったでしょうね。ここで「なんでだよー!いかないでー!」って泣いてたら。もう残り40人いってたでしょうね。終わってるでしょう。男はつらいよ。

そしてここからの対応が社長としての手腕を問われる正念場でもあり。設楽社長という人間性が十分に分かるエピソードです。なんと再建を生え抜きのスタッフで行うことを決意したのです。

重松さんたちが辞めた後、実は売り込みが凄かったんですよ。皆、業界では名が通った人ばかりで、即戦力としてバイヤー、MDを任せられる人からもたくさん声がかかりました。彼らの力を借りれば、確かに、早急に手当てはできたかもしれません。でも、考えたんです。外からいきなり人が来て、これから君たちのボスは僕だと言われたら、ビームス育ちのスタッフはどう思うだろうって。それに、今を自分のチャンスだと考えているスタッフもいるのでは、と考えました。

現場を大事にしていると分かるエピソードですね。しかし疑問が残るのは、そんな良い会社なのになぜ重松氏たちは大胆な独立を企てたのだろうということ。下手したらお世話になったビームスを存亡の危機にまで陥れかねないというのに。それはこの本にも明らかにされていないし、それを明らかにする目的の本ではないというようなことが書かれていました。

それでも、いくつか説があるようなのでまとめてみました!



題して、あなたはビームス派ユナイテッドアローズ派?

○×で答えてね。

  1. 大人をターゲットにした一流ブランドだけを集めたショップがしたい
  2. 上場したい
  3. 鈴鹿8耐ってなんでやねん
  4. ファミリー企業がいや!
  5. 時代の流れからモノを捉えるのではなく、モノそのものの魅力からモノを捉え、自分がそれをプロデュースしたい

どうでしたか?

ちなみに○が多いほどユナイテッドアローズ派です多分。笑

確かにビジネスですから、どっちが正しいか正しくないかは分からないです。弱肉強食のビジネスの世界、自分がトップになるという野心や夢を持ち、自分のキャリアを最大現に活かす場を求めることを誰も責められない。僕たちは、是非を問うことが重要なのではなく。こういうことから僕たちなりのやり方を見つけていくことが大事だと思うのです!

今、僕はこの「ビームスの奇跡」を読んでいるから、ビームスからの視点でしか分からないけどユナイテッドアローズ側の話も聞きたいと思った。

話を戻すが、当時70人いたビームスの役職社員のうち、約30人が最終的に去るなか一人の女性が設楽氏に辞表を提出するときのエピソードがすごくいい

辞表を出したとき、設楽さんが、いってくれた言葉が、今でも忘れられないの。
だって普通は憎まれ口のひとつくらいいいたくなるものでしょう。でも、辞めていく私に設楽さんは、こういったの。「きっとあなたがビームスを辞めるのは、ビームスでできなかったこと、不満に思っていたことがあるからだろう。でも、それを次の会社で求めてはダメだよ。どんな会社だって、同じことを必ず繰り返すものだからね。だから、あなたは、次の会社では、それを乗り越えて、次のステージで仕事をしなくてはいけないんだ。それができなければ、ウチを辞めて、重松さんたちと共に仕事をする意味は薄れてしまうよ」って私、その場で思わず泣きそうになっちゃった

いや、泣きそうっていうか泣けや!笑

しかし、なんとキザな別れのセリフでしょうか。彼は男です。いうたら、これ自分の彼女が浮気相手にとられたのに「浮気相手とはうまくやっていくんだよ!乾杯!」ってことですよ。うーん…ん?凄い!

というかちょっと「美談っぽくな〜い?かっこつけすぎ!」って思うかもですが、だって口ではなんとでも言えますもんね、と捻くれた考えのあなたへ。この設楽社長かっこつけじゃないようなのですよ。口だけじゃないんです。それを証明する、ユナイテッドアローズに対してある一つの決断をしたらしいのです。

また、そのことが、その後両者を泥試合に巻き込んだり、遺恨を残さない結果に繋がったということらしいのだが

その決断とは、取引先に一切の圧力をかけなかったということだ。独立したスタッフに、元の会社が、圧力をかけるというのは珍しいことではないー<中略>ー「あの時の力関係でいえば、ビームスの取引先や工場に圧力をかけて、ユナイテッドアローズのビジネスを邪魔することも、決して不可能ではなかったと思います。ー<中略>ーあとで、いろんな人から、それは賢明で潔い決断だって褒められたんです、あれだけは、自分でも一時の感情に流されることなく、よく冷静に判断できたと思います」

実際ユナイテッドアローズはその後、順調なスタートを切り、売り上げだけで言うとビームスを抜き去っていきました。

この本を読んでいると、ビームスがでっかくなったのって、経営がどうとか、こういうことしてきた!経営理論に乗っ取り〜とか、そういうのあんまりないんですよね。なんだろう??ごく普通に当たり前に純粋に「こうしたらいいじゃん」っていうのを、周りは「甘いよ!素人か」「いやそれは無駄だよ!儲けないよ!」「優しすぎるわ」って。でも「えーそうかなー?でも楽しいと思うから俺はやるよー。」みたいな感じなんです。本当に。仕事を楽しんでる。

つまりさ、そういうことだよね。なんでビームスってこんな大きくなったのかな、ちょっと分かった気がしたよね。きっと人間力というか。そんな人が経営してる企業だから愛されてるってことだよね。
本にも書かれていましたが、本当に感覚的経営なんですね。だからこそきっと楽しさが伝わったり、周りが助けてくれたり。自然と大きくなっていったんでしょうね。不思議な会社です。

ミスタービームスと呼ばれる設楽氏、感覚で動いてきた彼が一線を退いたときビームスがどう変わっていくか。これからも楽しみです!

僕も共感することが沢山あり、この本を通して大事なことを改めて再認識できたし発見できたというとこでした、なので皆様も是非読んでみると、仕事ってなんだろうな?って改めて考えられる一冊になるんじゃないかと思います!!読書の秋の一冊に加えてみてね。